キレイな景色や調度品が鑑賞できる観光スポットはお腹いっぱい…、なんて人におすすめしたいのが『新潟大学旭町学術資料展示館』です。
新潟大学旭町学術資料展示館は、あまり観光雑誌に掲載されていない穴場の学術的観光スポット。貴重な学術的資料が多数館内に展示されており、一般人にも開放されています。
しかも入館料・見学料が”無料”なので、お財布にとっても優しい!〇〇博物館や××資料館って入館料が高かったりするので、新潟大学旭町学術資料展示館が無料なのは誰もが嬉しいはず。
そこで今回は新潟大学旭町学術資料展示館(通称:あさひまち展示館)で資料を見学してきました。

※ちょっと怖かったり不気味な資料が写真にあるので、苦手な人は閲覧に注意してください。
新潟大学旭町学術資料展示館は新潟大学医歯学総合病院の一帯にあります。病院は大きくて立派、その周辺は新潟大学医学部・歯学部・新津記念館が林立しています。
2001年に開館した展示館は1929年に建築されたもので、旧制新潟師範学校の児童博物館として利用されていました。
たしかにまじまじと見ると古いような気もしますね。でもしっかりしていて堅牢にも見えます。資料によると新潟市に現存する昭和初期の鉄筋コンクリート建造物として”最古”のものなんですって。
このことから2005年には国から登録有形文化財に認定されました。
入館すると係員がパンフレットをくれます。「今日はレポートの作成ですか?」と聞かれ、どうやら私を大学生と思っているようです。観光で訪れたと答えますと、大層驚かれていました。
どうやら日頃は学生ばかりの来館で、あまり一般人は訪れないようですね。やはり学術的観光スポットとしては穴場で間違いないでしょう。
さて入館後すぐにガラスケースに収められたトキの剥製にご対面。

こちらのトキは1961年に新潟市五泉市にて誤射された個体。まじまじとトキを見たことがないので、じっくり見学させてもらいました。いきなりトキの剥製とは……新潟大学旭町学術資料展示館のインパクトが強烈過ぎます。
新潟駅周辺でトキの剥製が見られるのはここくらいでしょうね。
旧制新潟高等学校の心理関係の実験器具群。

宝くじ抽選会のルーレットみたいな機具。

物理関係の実験機器もあります。

金属製のラチェットや機構類。精巧な金属類が素晴らしいです。

鉱物のコーナーに移ります。ジュラ紀前期の富山県朝日町産地のクラドフレビスとトディテスの化石。化石ってしっかり葉脈も残っているんですね。

エゾキンチャク、コシバニシキなどの貝類の化石もあります。なかなか鉱物や化石のバリエーションが豊富です。化石の有名どころのアンモナイトもありました。

キラキラした珪化木こと水晶木です。

珪化木の細胞に水晶成分が含まれた溶液が染み込んでできたそうです。鉱物ってこんなに美しいんですね…。
またまだ他にも多数資料が展示されていますが、2階へ上がります。

ここからガイコツや墓標類が展示されているので、苦手な方は閲覧に注意してください。
人類学者、解剖学者であり、考古学の発展に寄与した功績を持つ長谷部言人(はせべことんど)先生の紹介。いかにも学者である風貌をされていますね。

人骨の頭部がガラスケースに展示されているのですが、やっぱり怖いですね。「わっ!」と思わず叫んでしまいました。誰もいなかったので良かったけれど…。

でもだんだん見慣れてくると、各年代の骨格の違いが解ってきて興味深いです。21世紀に生きている私たちの骨格も日に日に変化しているのでしょうか?
ガイコツコーナーの続きは出土した土器コーナーです。こちらは教科書でよく見かける縄文土器ですね。

造形が凝っており、昔の人も意外と器用だと感心します。それに手作りの温かみが感じられますね。
ガラスケース下奥に見えるは耳朶に装着する装飾品。

海外ではアフリカエチオピアのムルシ族が似たようなものをしています。私たちのファッションに欠かせないピアスやイヤリングもその名残なのでしょう。
全国各地の黒曜石の分布調査をまとめたもの。

イタチザメの顎と歯。

顎が楕円形となっていて、しっかり獲物に食らい付き逃しません。さらに歯が四重になっているほか、ちゃんと食い込むように先端が鋭利ですね。
解説によれば、貝塚から人骨に混じってイタチザメの歯が出土されているのだそう。ジョーズのビジュアルが背後に飾られていますが、こちらはイタチザメではなくてホホジロザメです。
金井町の貝塚から出土した人骨。

弓矢も埋葬され、狩りをしていた人なのかもしれません。(※写真中央は天井ライトの反射)
人骨を取り巻くようにおびただしい数の貝がありますね。

貝は貨幣として扱われていたことが知られていますが、この当時はどうだったのでしょうか?
ここからは縄文時代から現代に続く焼き物コーナー。須恵器と土師器、さらには勾玉に似た土製の管玉があります。

磨製石器、銅剣、土器類。私たちが普段使うお茶碗みたいな器もありますね。

遺跡から出土した木材の細胞片を見るコーナーもありました。顕微鏡で細胞片を覗くと、種類ごとに細胞の様子が異なります。針葉樹と広葉樹で木目も結構違うんですね。

群馬県伊勢崎市の古墳にて出土した人物埴輪頭部。

かつて放送されていたNHK番組”おーい!はに丸”のキャラクターである はに丸を大人にした感じ。(はに丸が子供なのかも分かりませんが…)
頭のカーブ数本は髪の毛の流れでしょうか?口元がクイッと右上がりになっていて、得意気な表情に見えます。
実際に石器用石材に触れるコーナーがあったので触ってみました。「触ってみよう!」と施設側から誘われたのならば、好奇心旺盛な私は触らずにはいられません。

試しに石の切片で手首の皮膚をツーッとなぞってみると、血は出ませんでしたがキズがついて痛いですね(当然)。意外と切れ味は鋭くてビックリしながらも昔の人の知恵に感心しました。
「石で獲物を獲ったり、切ったりすることってできるのかな?」なんて学生時代は半信半疑だったので良い経験になりました。可能ならば学生時代に体験してみたかったですね…。
ざっと大まかに館内の展示写真と解説をまとめましたが、実際には他にも多数資料が展示されています。ぜひ新潟大学旭町学術資料展示館に訪れて、知識を充実させてみてはいかがでしょうか?
勉強嫌いだった人もきっと楽しみながら、学問の素晴らしさに近づけるはずです。
旅データ
- 入館料:無料
- アクセス:新潟交通バス「東中通」から徒歩5分
- URL:http://www.lib.niigata-u.ac.jp/tenjikan/