新潟市中央区は急勾配が激しい土地ばかり。そこに「日和山」という小高い山があります。高さはわずか12.3メートル。水戸教(水先案内)発祥の地であり、船乗りさんたちが新潟港の状態を見る場所だったそうです。
小高い日和山頂上には一体何があるのだろう?好奇心がふつふつと湧いたので、登ってみることにしました。
傾斜度は約45度くらいでしょうか?階段を下から見上げた写真ですが、やや急なことが分かります。
頑張って街中登山を楽しんでいると『日和山五合目』というカフェがありました。
…あいにく日和山五合目はおやすみでした。立ち尽くしていると、近くにいらっしゃった地元の人が「もしかして日和山五合目に来たんですか?」と話しかけてきました。
お話を伺うと、「オープンは金曜日、土曜日、日曜日の11時から17時のみ。だからフラッと観光がてら立ち寄るのが難しいカフェなんです。でも本当においしいからぜひ今度行ってみて!」とのこと。
日和山五合目はオーナーさんこだわりのおいしいコーヒーとケーキが頂ける隠れ家的お店。静かな店内でゆったりくつろげると地元の人からも愛されています。今回は運悪くクローズでしたが、今度はオープンの時に行ってみたいです。
外観を少し見せてもらいましたが、テラス席も少ないながらありました。
日和山を訪れる際には、ぜひ日和山五合目のオープン曜日に合わせることをおすすめします。
もう少し石の階段を登ると、”日和山七合目”の看板があるではありませんか。ちょっと登るだけでもう七合目なんですね。
そのそばには2つの「海難者招魂之碑」と「越海津梁」の石碑がありました。(※狭い場所なので2つの石碑がタテに並んでいます)
海難者招魂之碑は、1899年に起きた海難事故犠牲者を慰霊するために1900年に設けられたそうです。
海難者招魂之碑を見て、何かに似ていると思いませんか?
そうです、碑は「船」を模していて、その裏には事故の顛末が記されています。はるか昔の事故ですが顛末を読むに、当時の水難者の恐怖が伝わってきました。
もう一つの石碑は水戸教の伊藤仁太郎の功績を讃えて立てられています。
そして階段の上を見上げると神社のお社が見えました。
地元地図によると『日和山住吉神社』のお社だそうです。
頂上から顔を覗かせているお社は「日和山の頂上はもうすぐだよ。がんばれ~」なんて激励しているのかも。もしくは「12.3メートルで息が切れているのは、日頃から鍛えていないからだ!今の人間はけしからん…」の叱咤でしょうか?
階段を登りきると日和山住吉神社のお社がお目見え。
とても開放的で中もよく見えますし、神社の上側には神社札らしきものがあります。
日和山住吉神社の歴史は古く、1865年に水戸教の伊藤仁太郎が自宅の敷地でお祀りしていた住吉神をこの地に遷したことによって始まったとされ、1880年に大火に見舞われて焼失したものの、翌年1881年にはすぐ再建されたそうです。
ちなみに、日和山住吉神社は「みなとまち新潟下町神社めぐり」に参加していて、お社の一角にスタンプ台がありました。
そしてお社のなかには札や弓矢が。2014年にはグッドデザイン賞を受賞しているようです。遠くて見えませんが、いったい何が受賞したのか気になります。
神社に来たらお賽銭をせねば!…と思ったものの、お賽銭箱が見当たりません。しばらくきょろきょろしてたら、障子の一角に硬貨が通る穴がありました。
おみくじもあります。
神社でおなじみの手水舎と方位石。
手水舎には水が張られておらず…。12.3メートルの日和山頂上まで水道を引くのは大変なのかもしれません。方位石については新潟の石工である田中勝五郎が手掛け、1891年に奉納されました。
お社の周辺の柵に括られたおみくじ。
とても見晴らしが良いので、ちょっと先にある「日和山展望台」まで行かなくても新潟市繁華街と海の両方を臨めます。
こちらは裏道ルート。
手すりは設けられているものの、先程登ってきたルートよりも角度は急でした。ぜひ古町や西大畑界隈に訪れた際には、日和山住吉神社への参拝、日和山五合目にてひと休みしてみてはいかがでしょうか。
旅データ
アクセス:新潟市観光循環バス「北前船の時代館前」バス停から徒歩5分
URL:http://www.hiyoriyama5.com/hiyoriyama5.html